立春の卵(たまご)

青木栄瞳



   ウヒャラ、メンコ    ウヒャラ、メンコ   (立つでしょうか?)    白い卵、    白い卵、   (うまれたての)    立春の    白いタマゴたち。 【全国配送承り中】  ――氷が必要な方はスタッフまでどうぞ!    ウオの卵、    ヒトの卵、    トリの卵、    ユメの卵、    ハルの卵は、    ランランラン――    卵・卵・卵、    乱・乱・乱、   (わが秘められた生涯)*    ウヒャラ、メンコ    ウヒャラ、メンコ   (立つでしょうか?)    ウオの乱、    ヒトの乱、    トリの乱、    ユメの乱、    ハルの乱は、    ランランラン――    乱・乱・乱、    卵・卵・卵   (皆様、ご機嫌いかがですか?)    ウヒャラ、メンコ    ウヒャラ、メンコ   (立つでしょうか?)  ――そのような経緯があったので、   (何か悪いことをしてみたくなる日があります。)    白い卵、    白い卵、   (むずむず、動く)    立春の    白いタマゴたち。    白いタマゴっち、    白いタマゴっち、 【全席自由です】

*サルバドール・ダリの自叙伝のタイトルより



Booby Trap No. 24



立春の卵(たまご)-エアロビクス・くねくね-メンソレータム・ラブ・ソング-ドルフィン・キック

エアロビクス・くねくね

青木栄瞳



(雨を隠す) 風薫る五月の朝、 庭の風が―― 草ばっこ*のキミドリ色が――        くねくね、カ−ブ        くねくね、カ−ブ エアロビクス・くねくね、 エアロビクス・くねくね、 しています。 (夜を隠す) わたしの朝のベッドでは、 五月の風が―― シ−ツの上のきれいな二人の裸体のまわりで――        くねくね、カ−ブ        くねくね、カ−ブ エアロビクス・くねくね、 エアロビクス・くねくね、 しています。 (汗を隠す) 黒の香水はありません。 ――基本的には男女別学です。

*『草ばっこ』というのは『草叢』のことで、八王子の方言かもしれません



Booby Trap No. 24



立春の卵(たまご)-エアロビクス・くねくね-メンソレータム・ラブ・ソング-ドルフィン・キック

メンソレータム・ラブ・ソング 

青木栄瞳



沁みるよ! ――主語は無い。  世の中って――  本当のような、  ウソのような 話ばかりね。       ウソのような、       本当のような、       世の中って、       本当のような、       ウソのような、       話ばかりだわ! メンソレータム・ラブ・ソング (オリジナル作品であれば、ジャンルは問いません)  ウソのような  本当のような、  猫、    ふんじゃった、  猫、    ふんじゃった。       本当のような       ウソのような、       猫、ばかりね、          本当のような       ウソのような       猫、        ふんじゃった、       猫、        ふんじゃった。       ウソのような       本当のような、       男 ばかりだわ!  本当のような  ウソのような、  話 ばかりね (たどたどしい夢ばかりだわ!) メンソレータム・ラブ・ソング ――「初ミミ」です。 *第3回クロコダイル朗読会のタイトル『水の傷』にあわせて創作。  傷口につけると沁みる軟膏薬「メンソレータム・ラブ」の商品名に、「ラブ・ ソング」を合体させた青木栄瞳流の造語。ちょっと沁みる明るく楽しい恋の歌 である。

1997 9 27



Booby Trap No. 26



立春の卵(たまご)-エアロビクス・くねくね-メンソレータム・ラブ・ソング-ドルフィン・キック

ドルフィン・キック

青木栄瞳



  チー、チョルル   チー、チョルル、  (イルカ語で)   生きていると 感じる、   生きていると 感じる、   生きていると 感じる時、  (イルカ語で)   ――遊べる 発見、   ルタ   ルタ、   チー、チョルル ・ルタ、ルタ   チー、チョルル ・ルタ、ルタ、   ――感光です。 【ドルフィン・キック・OK】 ――その純潔さが、どこから生じるのかは、   だれひとり、あなたすらも知ることはできない。*  (婚約というものには 真面目な生活が要求されました。)**   チー、チョルル   チー、チョルル、  (イルカ語で)   生きていると 感じる、   生きていると 感じる、   生きていると 感じる時、    (イルカ語で)   ――よろこびの 発見、   ルタ   ルタ、   チー、チョルル ・ルタ、ルタ   チー、チョルル ・ルタ、ルタ、  (そこから先には また別の潜在能力があります。) 【ドルフィン・キック・OK】   生きている男を 感じ、   生きている女を 感じ、   生きている波を 感じる時、  (ニホン語の)   三角包囲網を 破る、 【ドルフィン・キック】   チー、チョルル   チー、チョルル、 ――独走です。          *  ヤン・アンドレア著「マルグリット・デュラス」より          ** パゾリーニ短篇「匕首酒場の許婚者」より                                1999.7.3

Booby Trap No. 27


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